二級ボイラー技士試験「燃料及び燃焼に関する知識」について解説しています。
本ページでは、ボイラー用気体燃料について問う問題を取り扱います。
これは覚えよう!
気体燃料、都市ガス・LNG、LPG、LPGの特徴を抑えましょう。
気体燃料について
- 気体燃料は、石炭や液体燃料に比べて成分中の炭素に対する水素の比率が高い。
- 気体燃料は、固体燃料に比べて燃料中の硫黄分や灰分が少なく、公害防止上有利で、また、伝熱面、火炉壁などを汚染することがほとんどない。
- 気体燃料は、液体燃料に比べ、一般に配管口径が大きくなるので、配管費、制御機器費などが高くなる。
- 特定のエリアや工場で使用される気体燃料には、石油化学工場で発生するオフガスがある。
- 特定のエリアや工場で使用される気体燃料として、製鉄所や石油工場の副生ガスがある。
都市ガス・LNG
- 都市ガスは、液体燃料に比べてNOxやCO2の排出量が少なく、また、SOxは排出しない。
- LNGは、天然ガスを産地で精製後、−162℃に冷却し液化したものである。
LPG
- LPGは、常温・常圧では気体であるが、常温で加圧することにより液化できる。
- LPGは、都市ガスに比べて発熱量が大きく、密度が大きい。
- LPGは、漏えいすると窪みなどの底部に滞留しやすい。
- 液体燃料ボイラーのパイロットバーナの燃料には、LPGを使用することが多い。
練習問題
問題:ボイラー用気体燃料について、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。
Q:気体燃料は、石炭や液体燃料に比べて成分中の水素に対する炭素の比率が高い。
💡解説:気体燃料には、主にメタン(CH₄)、エタン(C₂H₆)、プロパン(C₃H₈)、ブタン(C₄H₁₀)などがあります。例えば、メタン(CH₄)は1つの炭素に対して4つの水素があり、炭素含量が高い石炭や液体燃料(重油等)と比較して、炭素に対する水素の比率が高いといえます。
Q:気体燃料は、液体燃料に比べ、一般に配管口径が小さくなるので、配管費、制御機器費などが安くなる。
💡解説:気体燃料は、液体燃料に比べてエネルギー密度が低いため、同じエネルギー量を運ぶためにはより多くの体積が必要です。そのため、気体燃料を供給するための配管口径は比較的大きくなることが一般的です。また、配管口径が大きいと、配管の材料費や施工費が高くなることがあります。
Q:都市ガスは、漏えいすると窪みなどの低部に滞留しやすい。
💡解説:LPGは主にプロパン(C₃H₈)とブタン(C₄H₁₀)から成る炭化水素の混合物です。LPGの密度は空気よりも高いため、漏れた場合には空気よりも重い状態になります。
ガス警報機の取り付け位置って、ガスの種類によって変わるんだよ。LPGは空気よりも重いから、低い位置に取り付けてね。安全のためにちゃんとした位置に取り付けるのが大事だから、気をつけてね!
過去問で修得
令和5年10月 問23
ボイラー用気体燃料に関するAからDまでの記述で、適切なもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。
- 気体燃料は、石炭や液体燃料に比べて成分中の炭素に対する水素の比率が高い。
- LPGは、常温・常圧では気体であるが、常温で加圧することにより液化できる。
- 都市ガスは、漏えいすると窪みなどの低部に滞留しやすい。
- 都市ガスは、液体燃料に比べてNOxやCO2の排出量が少なく、また、SOxは排出しない。
- A,B
- A,B,D
- A,C
- A,C,D
- B,D
正解 2
令和3年10月 問27
ボイラー用気体燃料について、誤っているものは次のうちどれか。
- 気体燃料は、石炭や液体燃料に比べて成分中の水素に対する炭素の比率が高い。
- 都市ガスは、液体燃料に比べてNOxやCO2の排出量が少なく、また、SOxはほとんど排出しない。
- LPGは、都市ガスに比べて発熱量が大きく、密度が大きい。
- 液体燃料ボイラーのパイロットバーナの燃料には、LPGを使用することが多い。
- 特定のエリアや工場で使用される気体燃料には、石油化学工場で発生するオフガスがある。
正解 1
令和2年10月 問26
ボイラー用気体燃料について、誤っているものは次のうちどれか。
- LNGは、天然ガスを産地で精製後、−162℃に冷却し液化したものである。
- 気体燃料は、固体燃料に比べて燃料中の硫黄分や灰分が少なく、公害防止上有利で、また、伝熱面、火炉壁などを汚染することがほとんどない。
- 都市ガスは、液体燃料に比べてNOxやCO2の排出量が少なく、また、SOxは排出しない。
- LPGは、漏えいすると窪みなどの底部に滞留しやすい。
- 気体燃料は、液体燃料に比べ、一般に配管口径が小さくなるので、配管費、制御機器費などが安くなる。
正解 5