伝熱面積の算定方法

二級ボイラー技士試験「関係法令」について解説しています。

本ページでは、伝熱面積の算定方法について問う問題を取り扱います。

これは覚えよう!

「伝熱面積に算入しない装置」と「伝熱面積に算入する装置はその算定方法」を確認しましょう。

ボイラーの伝熱面積に算入しない装置について

まずは、そもそも伝熱面積に算入しない装置を抑えておきましょう。

伝熱面積に算入しない装置一覧

  • 節炭器管(エコノマイザ)
  • 蒸気ドラム
  • 過熱器 / 過熱管
  • 気水分離器

詳細は» 伝熱面積

算定方法について

伝熱面積とは、ボイラー内で熱が実際に伝達される面積を指します。具体的には燃焼ガスが当たる面になります。

立てボイラー(横管式)の横管

立てボイラー(横管式)の横管の伝熱面積は、横管の外径側で算定する。

立てボイラー(横管式)では、燃焼ガスは横管の外側、水は横管の内側に流れることで、熱が水に伝達されます。そのため、熱交換が行われるのは横管の外側になり、伝熱面積は横管の外径側で算定します。

煙管ボイラー・炉筒煙管ボイラーの煙管

  • 煙管ボイラーの煙管の伝熱面積は、煙管の内径側で算定する。
  • 炉筒煙管ボイラーの煙管の伝熱面積は、煙管の内径側で算定する。

煙管ボイラーや炉筒煙管ボイラーでは、燃焼ガスは煙管の内側、水は煙管の外側に流れます。したがって、熱交換が行われるのは煙管の内側であり、内径が伝熱面積の基準になります。

水管ボイラーの水管

水管ボイラーの水管(ひれ、スタッド等がなく、耐火れんが等でおおわれた部分がないものに限る。)の伝熱面積は、水管の外径側で算定する。

水管ボイラーでは、燃焼ガスは水管の外側、水は水管の内側に流れます。したがって、熱交換が行われるのは水管の外側であり、伝熱面積は水管の外径側で算定します。

貫流ボイラー

貫流ボイラーの伝熱面積は、燃焼室入口から過熱器入口までの水管の燃焼ガス等に触れる面の面積で算定する。

電気ボイラー

電気ボイラーの伝熱面積は、電力設備容量60kWを1m2とみなして、その最大電力設備容量を換算した面積で算定する。

※令和5年12月18日に電気ボイラーの伝熱面積算定方法の見直しがされ算定方法が変わっています。現在は「電力設備容量60kWを1m2とみなす」が正しい算定方法です。過去問とは算定方法が違うことに注意しましょう

電力設備容量60kWを1m2とみなす … 今後の試験問題

電力設備容量20kWを1m2とみなす … 過去問

練習問題

問題:鋳鉄製蒸気ボイラーについて、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。

Q:水管ボイラーのドラムの面積は、伝熱面積に算入しない。

正しい記述です。

💡解説:節炭器管(エコノマイザ)、蒸気ドラム、過熱器 / 過熱管、気水分離器は伝熱面積に算入しません。

Q:水管ボイラーの耐火れんがでおおわれた水管の面積は、伝熱面積に算入しない。

正しくは「水管ボイラーの耐火れんがでおおわれた水管の面積は、伝熱面積に算入する。」

💡解説:水管は伝熱面積に算入します。伝熱面積に算入しない装置は、節炭器管(エコノマイザ)、蒸気ドラム、過熱器 / 過熱管、気水分離器の4つです。

Q:貫流ボイラーの過熱管の面積は、伝熱面積に算入しない。

正しい記述です。

💡解説:節炭器管(エコノマイザ)、蒸気ドラム、過熱器 / 過熱管、気水分離器は伝熱面積に算入しません。

Q:立てボイラー(横管式)の横管の伝熱面積は、横管の外径側で算定する。

正しい記述です。

💡解説:立てボイラー(横管式)では、燃焼ガスは横管の外側、水は横管の内側に流れます。そのため、伝熱面積は熱交換が行われる横管の外径側で算定します。

Q:炉筒煙管ボイラーの煙管の伝熱面積は、煙管の外径側で算定する。

正しくは「炉筒煙管ボイラーの煙管の伝熱面積は、煙管の内径側で算定する。」

💡解説:炉筒煙管ボイラーでは、燃焼ガスは煙管の内側、水は煙管の外側に流れます。そのため、伝熱面積は熱交換が行われる横管の内径側で算定します。

過去問で修得

令和4年4月 問34

ボイラーの伝熱面積の算定方法に関するAからDまでの記述で、法令上、正しいもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。

  1. 水管ボイラーの耐火れんがでおおわれた水管の面積は、伝熱面積に算入しない。
  2. 貫流ボイラーの過熱管は、伝熱面積に算入しない。
  3. 立てボイラー(横管式)の横管の伝熱面積は、横管の外径側で算定する。
  4. 炉筒煙管ボイラーの煙管の伝熱面積は、煙管の内径側で算定する。
  1. A、B
  2. A、B、C
  3. A、D
  4. B、C、D
  5. C、D

正解 4

令和3年4月 問34

ボイラーの伝熱面積の算定方法として、法令上、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 水管ボイラーの水管(ひれ、スタッド等がなく、耐火れんが等でおおわれた部分がないものに限る。)の伝熱面積は、水管の外径側で算定する。
  2. 貫流ボイラーの伝熱面積は、燃焼室入口から過熱器入口までの水管の燃焼ガス等に触れる面の面積で算定する。
  3. 立てボイラー(横管式)の横管の伝熱面積は、横管の外径側で算定する。
  4. 炉筒煙管ボイラーの煙管の伝熱面積は、煙管の外径側で算定する。
  5. 電気ボイラーの伝熱面積は、電力設備容量20kWを1m2とみなして、その最大電力設備容量を換算した面積で算定する。

正解 4

令和2年10月 問38

ボイラーの伝熱面積の算定方法として、法令上、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 水管ボイラーの耐火れんがでおおわれた水管の面積は、伝熱面積に算入しない。
  2. 貫流ボイラーの過熱管の伝熱面は、伝熱面積に算入しない。
  3. 立てボイラー(横管式)の横管の伝熱面積は、横管の外径側で算定する。
  4. 炉筒煙管ボイラーの煙管の伝熱面積は、煙管の内径側で算定する。
  5. 電気ボイラーの伝熱面積は、電力設備容量20kWを1m2とみなして、その最大電力設備容量を換算した面積で算定する。

正解 1

平成31年4月 問33

ボイラーの伝熱面積の算定方法として、法令上、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 水管ボイラーの耐火れんがでおおわれた水管の面積は、伝熱面積に算入しない。
  2. 水管ボイラーのドラムの面積は、伝熱面積に算入しない。
  3. 煙管ボイラーの煙管の伝熱面積は、煙管の内径側で算定する。
  4. 貫流ボイラーの過熱管の面積は、伝熱面積に算入しない。
  5. 電気ボイラーの伝熱面積は、電力設備容量20kWを1m2とみなして、その最大電力設備容量を換算した面積で算定する。

正解 1

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