二級ボイラー技士試験「ボイラーの取扱いに関する知識」について解説しています。
本ページでは、ボイラーの酸洗浄について問う問題を取り扱います。
酸洗浄について
ボイラーの内面清掃には、手作業や機械作業が難しい場合に薬液を使ってスケールや油脂分を溶かす方法があります。このうち酸性の薬剤を使用して洗浄する作業を「酸洗浄」と呼びます。
具体的には、塩酸などの酸を含んだ薬剤を使用して、ボイラー内部のスケールを溶かして取り除きます。しかし、酸を使うことでボイラーが腐食する恐れがあるため、腐食を防ぐための抑制剤(インヒビタ)を加えます。また、シリカ溶解剤、銅溶解剤、銅封鎖剤、還元剤などの追加の添加剤も必要に応じて使われます。
試験では、酸洗浄の手順について問われます。
酸洗浄は以下の手順で行います。
- 1前処理
シリカ分の多い硬質スケールを酸洗浄するときは、所要の薬液で前処理を行い、スケールを膨潤させます。
- 2水洗
- 3酸洗浄
酸洗浄は、酸によるボイラーの腐食を防止するため抑制剤(インヒビタ)を添加して行います。また、酸洗浄作業中は、水素が発生するのでボイラー周辺を火気厳禁にします。
- 4水洗
- 5中和防錆処理
水洗いしてから中和防錆処理を行います。
練習問題
問題:ボイラーの酸洗浄について、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。
Q:酸洗浄の使用薬品には、水酸化ナトリウムが多く用いられる。
💡解説:酸洗浄は酸性の薬剤を使用します。なお、酸消費量はアルカリ分の量のことを指します。注意しましょう。詳しくは» 水管理
Q:塩酸を用いる酸洗浄作業中は硫化水素が発生するので、ボイラー周辺を火気厳禁とする。
💡解説:酸が金属と反応すると、金属が酸化還元反応によって溶解し、水素ガスが放出されます。
Fe + 2HCl → FeCl2 + H2
Q:薬液で洗浄した後は、中和防錆処理を行い、水洗する。
💡解説:酸洗浄→水洗→中和防錆処理です。酸洗浄の手順を確認しましょう。
中和防錆処理は最後にやるんだね!
過去問で修得
令和3年10月 問13
ボイラーの酸洗浄に関するAからDまでの記述で、適切なもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。
- 酸洗浄の使用薬品には、りん酸が多く用いられる。
- 酸洗浄は、酸によるボイラーの腐食を防止するため抑制剤(インヒビタ)を添加して行う。
- 薬液で洗浄した後は、中和防錆処理を行ってから、水洗する。
- シリカ分の多い硬質スケールを酸洗浄するときは、所要の薬液で前処理を行い、スケールを膨潤させる。
- A, B, C
- A, B, D
- A, C
- B, D
- B, C, D
正解 4
平成31年4月 問17
ボイラーの酸洗浄について、AからDまでの記述のうち、正しいもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。
- 洗浄の使用薬品には、りん酸が多く用いられる。
- 酸洗浄は、酸によるボイラーの腐食を防止するため抑制剤(インヒビタ)を添加して行う。
- 薬液で洗浄した後は、中和防錆処理を行い、水洗する。
- シリカ分の多い硬質スケールを酸洗浄するときは、所要の薬液で前処理を行い、スケールを膨潤させる。
- A, B, C
- A, B, D
- A, C
- B, D
- B, C, D
正解 4