二級ボイラー試験「ボイラーの取扱いに関する知識」について解説しています。
本ページでは、ボイラー水の吹出しについて問う問題を取り扱います。
吹出しについて
吹出しとは?
吹出しとは、ボイラー内にたまった沈殿物や濃縮された不純物を取り除くためのプロセスです。ボイラーの胴部や水ドラムの底に取り付けられた吹出し弁やコックを使って、沈殿物を排出します。
吹出し弁やコックを開けることで沈殿物や濃縮水を外部に排出することができます。
吹出し弁
吹出し弁には、沈殿物がたまりにくい構造のY形弁(漸開弁)や仕切弁(急開弁)が使用されます。小容量の低圧ボイラーでは、一般的にコックが用いられ、通常は1つのコックが設置されています。スラッジなどによる故障を防ぐため、玉形弁は使用されません。
最高使用圧力が1MPa(メガパスカル)以上の大型ボイラーや高圧ボイラーでは、構造規格により直列に2個の吹出し弁が設けられます。ボイラーに近い方には急開弁を、遠い方には漸開弁を取り付けます。この場合、弁の操作はボイラー側の急開弁から先に開けます。
吹出し操作
日常運転中のボイラーでは、ボイラー内に圧力がかかっている場合は、運転を開始する前に吹出しを行います。もしボイラーを停止できない場合は、蒸気圧力が低いときに吹出しを行います。
水管ボイラーの水冷壁の吹出しは、過熱による問題を避けるために運転中は絶対に行ってはいけません。鋳鉄製のボイラーでは、吹出し量は非常に少なく、吹出しコックが設けられています。吹出しを行う際は、まず燃焼を停止し、ボイラー水の温度を下げてから行う必要があります。
これは覚えよう!
吹出し弁が直列に2個設けられている場合の取扱い
◆吹出し弁が直列に2個設けられている場合、急開弁を先に開けて、次に漸開弁を開ける。
◆吹出し弁が直列に2個設けられている場合、漸開弁を先に閉じ、次に急開弁を閉じる。
急開弁と漸開弁?
ボイラーに近い側に急開弁を、遠い方には漸開弁を取り付けられています。
- 急開弁…すぐに開けることができる弁
- 漸開弁…ゆっくりと開けることができる弁
ボイラーの構造に関する知識「ボイラーの吹出し装置」も合わせて確認しておきましょう。
吹出し弁を開けるとき
急開弁を先に開けて、次に漸開弁を開けます。
→急開弁を先に開け、その後で漸開弁を開けることで、温水がゆっくりと出てくるため、安全に吹出し操作ができます。これに対して、もし逆に、先に漸開弁を開けてから急開弁を開けると、温水が一気に流れ出すため、危険が伴います。
吹出し弁を閉めるとき
漸開弁を先に閉じて、次に急開弁を閉じます。
吹出し弁を閉じる際は、開けるときとは逆の手順で行います。具体的には、まず漸開弁を閉じ、その後に急開弁を閉じます。漸開弁を先に閉じることで、温水がゆっくりと止まるため、安全に操作できます。一方、急開弁を先に閉じると、急激な負荷が急開弁にかかり、危険が伴います。
開けるときは急開弁→漸開弁、閉めるときは漸開弁→急開弁です
急開弁→漸開弁、漸開弁→急開弁と唱えよう。
吹出しを行うタイミング
◆炉筒煙管ボイラーの吹出しは、ボイラーを運転する前、運転を停止したとき又は負荷が低いときに行う。
負荷がかかってるときに、吹出すと危ないよね!
練習問題
問題:ボイラー水の吹出しについて、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。
Q:直列に設けられている2個の吹出し弁を閉じるときは、急開弁を先に閉じ、次に漸開弁を閉じる。
Q:吹出し弁が直列に2個設けられている場合は、第二吹出し弁を先に開き、次に第一吹出し弁を開いて吹出しを行う。
💡解説:急開弁と漸開弁はそれぞれ第一吹出し弁、第二吹出し弁と呼ばれることもあります。
ボイラーに近い方から、第一、第二だね。
Q:炉筒煙管ボイラーの吹出しは、最大負荷よりやや低いときに行う。
💡解説:最大負荷よりやや低いときに吹出しを行うと、勢いよく温水が吹出して危険です。
過去問で修得
令和6年4月 問17
ボイラー水の吹出しについて、適切でないものは次のうちどれか。
- 炉筒煙管ボイラーの吹出しは、ボイラーを運転する前、運転を停止したとき又は負荷が低いときに行う。
- 鋳鉄製蒸気ボイラーの吹出しは、燃焼をしばらく停止して、ボイラー水の一部を入れ替えるときに行う。
- 水冷壁の吹出しは、いかなる場合でも運転中に行ってはならない。
- 吹出しを行っている間は、他の作業を行ってはならない。
- 直列に設けられている2個の吹出し弁を閉じるときは、急開弁を先に閉じ、次に漸開弁を閉じる。
正解 5
令和5年4月 問15
ボイラー水の吹出しについて、誤っているものは次のうちどれか。
- 炉筒煙管ボイラーの吹出しは、ボイラーを運転する前、運転を停止したとき又は負荷が低いときに行う。
- 鋳鉄製蒸気ボイラーの吹出しは、燃焼をしばらく停止してボイラー水の一部を入れ替えるときに行う。
- 水冷壁の吹出しは、いかなる場合でも運転中に行ってはならない。
- 吹出し弁を操作する者が水面計の水位を直接見ることができない場合は、水面計の監視者と共同で合図しながら吹出しを行う。
- 吹出し弁が直列に2個設けられている場合は、急開弁を先に閉じ、次に漸開弁を閉じて吹出しを終了する。
正解 5
令和4年10月 問16
ボイラー水の間欠吹出しについて、誤っているものは次のうちどれか。
- 炉筒煙管ボイラーの吹出しは、ボイラーを運転する前、運転を停止したとき又は負荷が低いときに行う。
- 鋳鉄製蒸気ボイラーの吹出しは、燃焼をしばらく停止して、ボイラー水の一部を入れ替えるときに行う。
- 水冷壁の吹出しは、いかなる場合でも運転中に行ってはならない。
- 直列に設けられている2個の吹出し弁を閉じるときは、急開弁を先に閉じ、次に漸開弁を閉じる。
- 1人で2基以上のボイラーの吹出しを同時に行ってはならない。
正解 4
令和4年4月 問14
ボイラー水の吹出しに関するAからDまでの記述で、正しいもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。
- 炉筒煙管ボイラーの吹出しは、最大負荷よりやや低いときに行う。
- 水冷壁の吹出しは、スラッジなどの沈殿を考慮して、運転中に適宜行う。
- 吹出しを行っている間は、他の作業を行ってはならない。
- 吹出し弁が直列に2個設けられている場合は、急開弁を締切り用とする。
- A、B
- A、C
- A、C、D
- B、C、D
- C、D
正解 5
令和3年4月 問14
ボイラー水の吹出しについて、誤っているものは次のうちどれか。
- 炉筒煙管ボイラーの吹出しは、ボイラーを運転する前、運転を停止したとき又は負荷が低いときに行う。
- 鋳鉄製温水ボイラーは、配管のさび又はスラッジを吹き出す場合のほかは、吹出しは行わない。
- 水冷壁の吹出しは、いかなる場合でも運転中に行ってはならない。
- 吹出し弁が直列に2個設けられている場合は、第二吹出し弁を先に開き、次に第一吹出し弁を開いて吹出しを行う。
- 鋳鉄製蒸気ボイラーの吹出しは、燃焼をしばらく停止して、ボイラー水の一部を入れ替えるときに行う。
正解 4
令和2年10月 問18
ボイラー水の吹出しについて、誤っているものは次のうちどれか。
- 炉筒煙管ボイラーの吹出しは、ボイラーを運転する前、運転を停止したとき又は負荷が低いときに行う。
- 鋳鉄製蒸気ボイラーの吹出しは、運転中に行わなければならない。
- 水冷壁の吹出しは、いかなる場合でも運転中に行ってはならない。
- 1人で2基以上のボイラーの吹出しを同時に行ってはならない。
- 直列に設けられている2個の吹出し弁を閉じるときは、第二吹出し弁を先に閉じ、次に第一吹出し弁を閉じる。
正解 2
令和元年10月 問15
ボイラー水の吹出しについて、誤っているものは次のうちどれか。
- 炉筒煙管ボイラーの吹出しは、ボイラーを運転する前、運転を停止したとき又は負荷が低いときに行う。
- 鋳鉄製温水ボイラーは、配管のさび又は水中のスラッジを吹き出す場合のほかは、吹出しは行わない。
- 水冷壁の吹出しは、いかなる場合でも運転中に行ってはならない。
- 吹出し弁が直列に2個設けられている場合には、第二吹出し弁を先に開き、次に第一吹出し弁を開いて吹出しを行う。
- 鋳鉄製蒸気ボイラーの吹出しは、燃焼をしばらく停止して、ボイラー水の一部を入れ替えるときに行う。
正解 4