低温腐食の抑制方法

二級ボイラー技士試験「燃料及び燃焼に関する知識」について解説しています。

本ページでは、低温腐食の抑制方法について問う問題を取り扱います。

これは覚えよう!

ボイラーの低温腐食は、低温での燃焼ガスや水分が鉄や鋼を腐食させる現象です。酸素や二酸化硫黄が反応し、酸性物質が生成されて金属を侵食します。これによりボイラーの寿命が短くなり、性能低下や故障を引き起こすことがあります。

「燃料」、「露点」、「温度」の観点から低温腐食の抑制方法を覚えましょう。

燃料管理

低温腐食の原因となる「硫黄」が少ない燃料を使用することが重要です。

  • 硫黄分の少ない重油を選択する。

露点管理

露点とは、排ガス中の水蒸気が凝縮し始める温度のことを指します。露点を下げることで、水蒸気の凝縮を防ぎ、酸性物質の形成や金属表面への付着が減少します。これにより、腐食のリスクが低下します。

露点は下げることを心がけよう。

  • 燃焼ガス中の酸素濃度を下げ、燃焼ガスの露点を下げる。
  • 重油に添加剤を加え、燃焼ガスの露点を下げる。

❌️この記述は間違いです!

  • 燃焼ガス中の酸素濃度を上げる
  • 重油に添加剤を加え、燃焼ガスの露点を上げる
  • 燃焼ガス温度を、給水温度にかかわらず、燃焼ガスの露点以上に高くする

温度管理

排ガスやボイラー内部の温度を高く保つことで、酸性物質が凝縮せず煙のまま外に逃がすことができます。これにより、凝縮による腐食のリスクを減少させることができます。

燃焼温度は低くならないように高く保ちます。

  • 給水温度を上昇させて、エコノマイザの伝熱面の温度を高く保つ。
  • 蒸気式空気予熱器を用いて、ガス式空気予熱器の伝熱面の温度が低くなり過ぎないようにする。
  • 燃焼室及び煙道への空気漏入を防止し、煙道ガスの温度の低下を防ぐ。

❌️この記述は間違いです!

  • 給水温度を下げて、エコノマイザの伝熱面の温度を低く保つ。
  • ガス式空気予熱器を用いて、蒸気式空気予熱器の伝熱面の温度が高くなり過ぎないようにする。

過去問で修得

令和5年4月 問27

重油燃焼によるボイラー及び附属設備の低温腐食の抑制方法として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 硫黄分の少ない重油を選択する。
  2. 燃焼ガス中の酸素濃度を上げる。
  3. 給水温度を上昇させて、エコノマイザの伝熱面の温度を高く保つ。
  4. 蒸気式空気予熱器を用いて、ガス式空気予熱器の伝熱面の温度が低くなり過ぎないようにする。
  5. 重油に添加剤を加え、燃焼ガスの露点を下げる。

正解 2

令和4年4月 問27

重油燃焼によるボイラー及び附属設備の低温腐食の抑制方法に関するAからDまでの記述で、正しいもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。

  1. 燃焼ガス中の酸素濃度を上げる。
  2. 燃焼ガス温度を、給水温度にかかわらず、燃焼ガスの露点以上に高くする。
  3. 燃焼室及び煙道への空気漏入を防止し、煙道ガスの温度の低下を防ぐ。
  4. 重油に添加剤を加え、燃焼ガスの露点を上げる。
  1. A、B
  2. A、B、D
  3. B、C
  4. C、D
  5. C

正解 5

令和3年4月 問27

重油燃焼によるボイラー及び附属設備の低温腐食の抑制方法に関するAからDまでの記述で、誤っているもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。

  1. 高空気比で燃焼させ、燃焼ガス中のSO2からSO3への転換率を下げる。
  2. 重油に添加剤を加え、燃焼ガスの露点を上げる。
  3. 給水温度を上昇させて、エコノマイザの伝熱面の温度を高く保つ。
  4. 蒸気式空気予熱器を用いて、ガス式空気予熱器の伝熱面の温度が低くなり過ぎないようにする。
  1. A, B
  2. A, B, C
  3. A, B, D
  4. A, D
  5. C, D

正解 1

令和2年10月 問23

重油燃焼によるボイラー及び附属設備の低温腐食の抑制方法として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 硫黄分の少ない重油を選択する。
  2. 燃焼室及び煙道への空気漏入を防止し、煙道ガスの温度の低下を防ぐ。
  3. 蒸気式空気予熱器を用いて、ガス式空気予熱器の伝熱面の温度が低くなり過ぎないようにする。
  4. 燃焼ガス中の酸素濃度を上げる。
  5. 重油に添加剤を加え、燃焼ガスの露点を下げる。

正解 4

令和元年10月 問27

重油燃焼によるボイラー及び附属設備の低温腐食の抑制方法として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 硫黄分の少ない重油を選択する。
  2. 燃焼ガス中の酸素濃度を下げ、燃焼ガスの露点を下げる。
  3. 給水温度を上昇させて、エコノマイザの伝熱面の温度を高く保つ。
  4. ガス式空気予熱器を用いて、蒸気式空気予熱器の伝熱面の温度が高くなり過ぎないようにする。
  5. 燃焼室及び煙道への空気漏入を防止し、煙道ガスの温度の低下を防ぐ。

正解 4