軟化装置

二級ボイラー技士試験「ボイラーの取扱いに関する知識」について解説しています。

本ページでは、軟化装置について問う問題を取り扱います。

軟化装置について

単純軟化法は、ボイラーの補給水に含まれる硬度成分を取り除くための方法の一つです。この方法の主な目的は、水の硬度を低下させ、ボイラー内でのスケール(カルシウムスケールやマグネシウムスケール)の形成を防ぐことです。

軟化装置は、給水中の硬度成分を除去するために使用される装置で、主に低圧ボイラーに広く普及しています。この装置は、強酸性陽イオン交換樹脂を使用しており、水中のカルシウムやマグネシウムといった硬度成分を樹脂のナトリウムと置換させます。

処理水の残留硬度が貫流点に達すると、通水を停止し再生操作を行う必要があります。再生操作が行われない場合、残留硬度は貫流点を超えて著しく増加します。強酸性陽イオン交換樹脂の交換能力が低下した場合は、食塩水で再生を行います。

また、強酸性陽イオン交換樹脂は年間に1回程度、鉄分による汚染などを調査し、樹脂の洗浄や補充を行う必要があります。

練習問題

問題:単純軟化法によるボイラー補給水の軟化装置について、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。

Q:軟化装置は、水中のシリカや塩素イオンを除去することができる。

正しくは「軟化装置は、水中のカルシウムマグネシウムを除去することができる。」

💡解説:余談ですが、シリカや塩素イオンは逆浸透装置(RO装置)で除去できます。(試験には出ないです。)

Q:軟化装置による処理水の残留硬度は、貫流点を超えると著しく減少する。

正しくは「軟化装置による処理水の残留硬度は、貫流点を超えると著しく増加する。」

💡解説:貫流点は、軟化装置で処理水中の硬度が設計目標を超えて増加し始める点で、装置の再生が必要なタイミングを示します。貫流点を超えると、装置が硬度成分を完全に取り除けなくなり、処理水に硬度成分が残るようになります。

Q:軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂の交換能力が低下した場合は、一般に食塩水で再生を行う。

正しい記述です。

💡解説:再生は塩を使いましょう。なお、「塩酸で再生を行う」と出題される場合があります。もちろん「❌️」です。

過去問で修得

令和5年4月 問19

単純軟化法によるボイラー補給水の軟化装置について、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 軟化装置は、強酸性陽イオン交換樹脂を充塡したNa塔に補給水を通過させるものである。
  2. 軟化装置は、水中のカルシウムやマグネシウムを除去することができる。
  3. 軟化装置による処理水の残留硬度は、貫流点を超えると著しく減少する。
  4. 軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂の交換能力が低下した場合は、一般に食塩水で再生を行う。
  5. 軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂は、1年に1回程度、鉄分による汚染などを調査し、樹脂の洗浄及び補充を行う。

正解 3

令和4年4月 問18

単純軟化法によるボイラー補給水の軟化装置について、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 軟化装置は、水の硬度成分を除去する最も簡単なもので、低圧ボイラーに広く普及している。
  2. 軟化装置は、水中のシリカや塩素イオンを除去することができる。
  3. 軟化装置による処理水の残留硬度は、貫流点を超えると著しく増加する。
  4. 軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂の交換能力が低下した場合は、一般に食塩水で再生を行う。
  5. 軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂は、1年に1回程度、鉄分による汚染などを調査し、樹脂の洗浄及び補充を行う。

正解 2

令和3年4月 問18

単純軟化法によるボイラー補給水の軟化装置について、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 軟化装置は、強酸性陽イオン交換樹脂を充塡したNa塔に補給水を通過させるものである。
  2. 軟化装置は、水中のカルシウムやマグネシウムを除去することができる。
  3. 軟化装置による処理水の残留硬度は、貫流点を超えると著しく減少する。
  4. 軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂の交換能力が低下した場合は、一般に食塩水で再生を行う。
  5. 軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂は、1年に1回程度、鉄分による汚染などを調査し、樹脂の洗浄及び補充を行う。

正解 3

令和2年10月 問15

単純軟化法によるボイラー補給水の軟化装置について、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 軟化装置は、強酸性陽イオン交換樹脂を充塡したNa塔に補給水を通過させるものである。
  2. 軟化装置は、水中のカルシウムやマグネシウムを除去することができる。
  3. 軟化装置による処理水の残留硬度が貫流点に達したら、通水を始め再生操作を行う。
  4. 軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂の交換能力が低下した場合は、一般に食塩水で再生を行う。
  5. 軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂は、1年に1回程度、鉄分による汚染などを調査し、樹脂の洗浄及び補充を行う。

正解 3

令和元年10月 問19

単純軟化法によるボイラー補給水の軟化装置について、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 軟化装置は、強酸性陽イオン交換樹脂を充塡した Na塔に水を通過させるものである。
  2. 軟化装置は、水中のカルシウムやマグネシウムを除去することができる。
  3. 軟化装置による処理水の残留硬度は、貫流点を超えると著しく減少する。
  4. 軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂の交換能力が低下した場合は、一般に食塩水で再生を行う。
  5. 軟化装置の強酸性陽イオン交換樹脂は、1年に1回程度、鉄分による汚染などを調査し、樹脂の洗浄及び補充を行う。

正解 3

平成31年4月 問13

単純軟化法によるボイラー補給水の軟化装置について、正しいものは次のうちどれか。

  1. 中和剤により、水中の高いアルカリ分を除去する装置である。
  2. 半透膜により、純水を作るための装置である。
  3. 真空脱気により、水中の二酸化炭素を取り除く装置である。
  4. 高分子気体透過膜により、水中の酸素を取り除く装置である。
  5. 強酸性陽イオン交換樹脂により、水中の硬度成分を樹脂のナトリウムと置換させる装置である。

正解 5