二級ボイラー技士試験「ボイラーの構造に関する知識」について解説しています。
本ページでは、ボイラーの給水系統装置について問う問題を取り扱います。
給水系統装置について
ボイラーは、水を加熱して蒸気や温水を生成するための装置で、その運転には安定した給水が必要です。給水系統とは、給水ポンプ、インゼクタ、給水加熱器、給水弁、逆止め弁、ボイラー内給水管、およびこれらを接続する配管などを含む一連の装置と配管システムを指します。
試験では「給水ポンプ」、「給水弁・逆止め弁」と「ボイラー内給水管」について問われることが多いです。
給水ポンプ
給水ポンプは、遠心ポンプと円周流ポンプに大別されます。さらに遠心ポンプは、案内羽根を有するディフューザポンプと有しない渦巻ポンプに分類されます。
「ディフューザポンプ」、「渦巻ポンプ」、「渦流ポンプ」の3つを覚えましょう。
遠心ポンプ
- 遠心ポンプは、案内羽根を有するディフューザポンプと有しない渦巻ポンプに分類される。
- 遠心ポンプは、多数の羽根を有する羽根車をケーシング内で回転させ、遠心作用により水に圧力及び速度エネルギーを与える。
>>ディフューザポンプ
- ディフューザポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のある遠心ポンプで、高圧のボイラーには多段ディフューザポンプが用いられる。
>>渦巻ポンプ
- 渦巻ポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のない遠心ポンプで、一般に低圧のボイラーに用いられる。
渦流ポンプ
- 渦流ポンプは、円周流ポンプとも呼ばれているもので、小容量の蒸気ボイラーなどに用いられる。
給水弁・逆止め弁
給水系統には、給水弁と逆止め弁が取り付けられます。具体的には、給水弁はボイラー側に、逆止め弁はポンプ側に取り付けます。この配置により、ボイラー内に圧力がかかっている場合に給水弁を閉じることで、逆止め弁の掃除や修理を行うことができます。
給水ポンプの圧力がボイラー内の圧力より高い状態では、給水がボイラーに送られます。しかし、停電などでポンプ側の圧力がボイラー内の圧力より低くなると、給水逆止め弁が作動して、ボイラー内の水がポンプ側に逆流するのを自動的に防ぐことができます。
給水弁と逆止め弁の取り付け位置と用いられる弁の種類を覚えましょう。
- ボイラー又はエコノマイザの入口近くには、給水弁と給水逆止め弁を設ける。
- 給水弁と給水逆止め弁をボイラーに取り付ける場合は、ボイラーに近い側に給水弁を取り付ける。
- 給水弁には、アングル弁又は玉形弁が用いられる。
- 給水逆止め弁には、スイング式又はリフト式の弁が用いられる。
給水内管
給水内管は、ボイラー内で給水が均等に分配されるように設置される配管です。主な役割は、給水がボイラー胴内や蒸気ドラム内の特定の場所に集中するのを防ぐことです。もし給水が一箇所に集中すると、急激な温度差が発生し、水循環が乱れる可能性があります。
給水内管は取付け位置に注意しましょう。下方に取付けます。
- 給水内管は、一般に長い鋼管に多数の穴を設けたもので、胴又は蒸気ドラム内の安全低水面よりやや下方に取り付ける。
練習問題
問題:ボイラーの給水系統装置について、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。
渦巻ポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のある遠心ポンプで、低圧のボイラーに用いられる。
💡解説:渦巻ポンプは案内羽根のない遠心ポンプです。
給水弁と給水逆止め弁をボイラーに取り付ける場合は、ボイラーに近い側に給水逆止め弁を取り付ける。
💡解説:ボイラーに近い側に給水弁です。遠い側に逆止め弁です。
給水弁には、アングル弁又は玉形弁が用いられる。
💡解説:なお、給水逆止め弁には、スイング式又はリフト式の弁が用いられます。合わせて覚えましょう。
給水内管は、一般に長い鋼管に多数の穴を設けたもので、胴又は蒸気ドラム内の安全低水面よりやや上方に取り付ける。
💡解説:取付け位置は「下方」です。試験で狙われやすい箇所なのでしっかり抑えておきましょう。
過去問で修得
令和5年4月 問8
ボイラーの給水系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。
- ディフューザポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のある遠心ポンプで、高圧のボイラーには多段ディフューザポンプが用いられる。
- 渦巻ポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のない遠心ポンプで、一般に低圧のボイラーに用いられる。
- 渦流ポンプは、円周流ポンプとも呼ばれているもので、小容量の蒸気ボイラーなどに用いられる。
- 給水逆止め弁には、ゲート弁又はグローブ弁が用いられる。
- 給水弁と給水逆止め弁をボイラーに取り付ける場合は、ボイラーに近い側に給水弁を取り付ける。
正解 4
令和4年4月 問8
ボイラーの給水系統装置について、適切でないものは次のうちどれか。
- ディフューザポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のある遠心ポンプで、高圧のボイラーには多段ディフューザポンプが用いられる。
- 渦巻ポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のない遠心ポンプで、一般に低圧のボイラーに用いられる。
- 給水加熱器には、一般に加熱管を隔てて給水を加熱する熱交換式が用いられる。
- 給水弁と給水逆止め弁をボイラーに取り付ける場合は、ボイラーに近い側に給水弁を取り付ける。
- 給水内管は、一般に長い鋼管に多数の穴を設けたもので、胴又は蒸気ドラム内の安全低水面よりやや上方に取り付ける。
正解 5
令和3年4月 問8
ボイラーの給水系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。
- ボイラーに給水する遠心ポンプは、多数の羽根を有する羽根車をケーシング内で回転させ、遠心作用により水に圧力及び速度エネルギーを与える。
- 遠心ポンプは、案内羽根を有するディフューザポンプと有しない渦巻ポンプに分類される。
- 渦流ポンプは、円周流ポンプとも呼ばれているもので、小容量の蒸気ボイラーなどに用いられる。
- 給水弁と給水逆止め弁をボイラーに取り付ける場合は、ボイラーに近い側に給水逆止め弁を取り付ける。
- 給水内管は、一般に長い鋼管に多数の穴を設けたもので、胴又は蒸気ドラム内の安全低水面よりやや下方に取り付ける。
正解 4
令和2年10月 問8
ボイラーの給水系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。
- ボイラーに給水する遠心ポンプは、多数の羽根を有する羽根車をケーシング内で回転させ、遠心作用により水に水圧及び速度エネルギーを与える。
- 遠心ポンプは、案内羽根を有するディフューザポンプと有しない渦巻ポンプに分類される。
- 渦流ポンプは、円周流ポンプとも呼ばれているもので、小容量の蒸気ボイラーなどに用いられる。
- ボイラー又はエコノマイザの入口近くには、給水弁と給水逆止め弁を設ける。
- 給水内管は、一般に長い鋼管に多数の穴を設けたもので、胴又は蒸気ドラム内の安全低水面よりやや上方に取り付ける。
正解 5
令和2年4月 問8
ボイラーの給水系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。
- ディフューザポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のある遠心ポンプで、高圧のボイラーには多段ディフューザポンプが用いられる。
- 渦巻ポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のない遠心ポンプで、一般に低圧のボイラーに用いられる。
- インゼクタは、蒸気の噴射力を利用して給水するものである。
- 給水逆止め弁には、アングル弁又は玉形弁が用いられる。
- 給水内管は、一般に長い鋼管に多数の穴を設けたもので、胴又は蒸気ドラム内の安全低水面よりやや下方に取り付ける。
正解 4
令和元年10月 問8
ボイラーの給水系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。
- ディフューザポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のある遠心ポンプで、高圧のボイラーには多段ディフューザポンプが用いられる。
- 渦巻ポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のない遠心ポンプで、一般に低圧のボイラーに用いられる。
- 給水加熱器には、一般に、加熱管を隔てて給水を加熱する熱交換式が用いられる。
- 給水弁と給水逆止め弁をボイラーに取り付ける場合は、ボイラーに近い側に給水弁を取り付ける。
- 給水内管は、一般に長い鋼管に多数の穴を設けたもので、胴又は蒸気ドラム内の安全低水面より上方に取り付ける。
正解 5
平成31年4月 問7
ボイラーの給水系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。
- 渦流ポンプは、円周流ポンプとも呼ばれているもので、小容量の蒸気ボイラーなどに用いられる。
- 渦巻ポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のある遠心ポンプで、低圧のボイラーに用いられる。
- インゼクタは、蒸気の噴射力を利用して給水するものである。
- 給水弁と給水逆止め弁をボイラーに取り付ける場合は、ボイラーに近い側に給水弁を取り付ける。
- 給水弁には、アングル弁又は玉形弁が用いられる。
正解 2