大気汚染物質・NOxの抑制方法

二級ボイラー試験「燃料及び燃焼に関する知識」について解説しています。

本ページでは、ボイラーの燃料の燃焼により発生する大気汚染物質・NOxの抑制方法について問う問題を取り扱います。

これは覚えよう!

燃料の燃焼によって生じた硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、すすやダストなどの物質は、大気汚染の原因になります。また、SOxとNOxはともに酸性雨の原因もなります。

硫黄酸化物 SOx

ボイラーの燃焼で排出される排ガス中のSOxは、大部分がSO2です。

窒素酸化物 NOx

ボイラーの燃焼で排出される排ガス中のNOxは、大部分がNOです。

また、試験ではNOxの抑制方法、サーマルNOxとフューエルNOxを問われることが多いのでしっかりと確認しておきましょう。

NOxの抑制方法

  • 窒素化合物の少ない燃料を使用する。
  • 炉内燃焼ガス中の酸素濃度を低くする。
  • 燃焼温度を低くし、特に局所的高温域が生じないようにする。
  • 高温燃焼域での燃焼ガスの滞留時間を短くする。
  • 二段燃焼法によって燃焼させる。
  • 濃淡燃焼法によって燃焼させる。
  • 排ガス再循環法によって燃焼させる。
  • 排煙脱硝装置を設置する。

サーマルNOxとフューエルNOx

  • サーマルNOxは、燃焼に使用された空気中の窒素が酸素と反応して生じる。
  • フューエルNOxは、燃料中の窒素化合物が酸化されて生じる。

すすやダスト

すすは、燃料の燃焼により分解した炭素が遊離炭素として残存したものになります。一方で、ダストは、灰分が主体で、これに若干の未燃分が含まれたものです。

練習問題

問題:ボイラーの燃料の燃焼により発生する大気汚染物質について、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。

Q:排ガス中のSOxは、大部分がSO2である。

正しい記述です。

💡解説:ボイラーの燃焼で排出される排ガス中のSOxは、大部分がSO2になります。

Q:排ガス中のNOxは、大部分がNO2である。

正しくは「排ガス中のNOxは、大部分がNOである。」

💡解説:ボイラーの燃焼で排出される排ガス中のSOxは、大部分がNOになります。

Q:フューエルNOxは、燃焼に使用された空気中の窒素が酸素と反応して生じる。

正しくは「サーマルNOxは、燃焼に使用された空気中の窒素が酸素と反応して生じる。」

💡解説:フューエルNOxは、燃料中の窒素化合物が酸化されて生じます。

Q:ダストは、燃料の燃焼により分解した炭素が遊離炭素として残存したものである。

正しくは「すすは、燃料の燃焼により分解した炭素が遊離炭素として残存したものである。」

💡解説:ダストは、灰分が主体で、これに若干の未燃分が含まれたものになります。

問題:ボイラーの燃料の燃焼により発生するNOxの抑制方法について、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。

Q:燃焼域での酸素濃度を低くする。

正しい記述です。

Q:高温燃焼域における燃焼ガスの滞留時間を短くする。

正しい記述です。

Q:硫黄分の少ない燃料を使用する。

正しくは「窒素化合物の少ない燃料を使用する。」

💡解説:硫黄の量はNOxの抑制には関係がありません。

過去問で修得

令和6年4月 問28

ボイラーの燃料の燃焼により発生する大気汚染物質について、適切でないものは次のうちどれか。

  1. 排ガス中のSOxは、大部分がSO2である。
  2. 排ガス中のNOxは、大部分がNO2である。
  3. 燃焼により発生するNOxには、サーマルNOxとフューエルNOxがある。
  4. 燃料を燃焼させた際に発生する固体微粒子には、すすやダストがある。
  5. SOxは、NOxとともに酸性雨の原因となる。

正解 2

令和5年10月 問28

ボイラーの燃料の燃焼により発生する大気汚染物質について、適切でないものは次のうちどれか。

  1. 排ガス中のNOxは、大部分がNOである。
  2. 排ガス中のSOxは、大部分がSO2である。
  3. フューエルNOxは、燃料中の窒素化合物が酸化されて生じる。
  4. ダストは、燃料の燃焼により分解した炭素が遊離炭素として残存したものである。
  5. SOxは、NOxとともに酸性雨の原因となる。

正解 4

令和4年10月 問29

ボイラーの燃料の燃焼により発生する大気汚染物質について、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 排ガス中のSOxは、大部分がSO2である。
  2. 排ガス中のNOxは、大部分がNOである。
  3. 燃料を燃焼させた際に発生する固体微粒子には、すすやダストがある。
  4. すすは、燃料の燃焼により分解した炭素が遊離炭素として残存したものである。
  5. フューエルNOxは、燃焼に使用された空気中の窒素が酸素と反応して生じる。

正解 5

令和3年10月 問26

ボイラーの燃料の燃焼により発生するNOxの抑制方法として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 高温燃焼域における燃焼ガスの滞留時間を長くする。
  2. 窒素化合物の少ない燃料を使用する。
  3. 燃焼域での酸素濃度を低くする。
  4. 濃淡燃焼法によって燃焼させる。
  5. 排ガス再循環法によって燃焼させる。

正解 1

令和2年10月 問30

ボイラーの燃料の燃焼により発生するNOxの抑制方法として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 燃焼域での酸素濃度を低くする。
  2. 空気予熱器を設けて燃焼温度を高くする。
  3. 高温燃焼域における燃焼ガスの滞留時間を短くする。
  4. 二段燃焼法によって燃焼させる。
  5. 濃淡燃焼法によって燃焼させる。

正解 2

令和2年4月 問27

ボイラーの燃料の燃焼により発生する大気汚染物質について、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 排ガス中の SOx は、大部分が SO3 である。
  2. 排ガス中の NOx は、大部分が NO である。
  3. 燃焼により発生する NOx には、サーマル NOx とフューエル NOx がある。
  4. フューエル NOx は、燃料中の窒素化合物の酸化によって生じる。
  5. ダストは、灰分が主体で、これに若干の未燃分が含まれたものである。

正解 1

令和2年4月 問29

ボイラーの燃料の燃焼により発生する NOx の抑制方法として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 排ガス再循環法によって燃焼させる。
  2. 濃淡燃焼法によって燃焼させる。
  3. 高温燃焼域における燃焼ガスの滞留時間を短くする。
  4. 排煙脱硝装置を設置する。
  5. 硫黄分の少ない燃料を使用する。

正解 5

平成31年4月 問24

ボイラーの燃料の燃焼により発生するNOxの抑制措置として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 燃焼域での酸素濃度を高くする。
  2. 燃焼温度を低くし、特に局所的高温域が生じないようにする。
  3. 高温燃焼域における燃焼ガスの滞留時間を短くする。
  4. 二段燃焼法によって燃焼させる。
  5. 排ガス再循環法によって燃焼させる。

正解 1