二級ボイラー技士試験「ボイラーの構造に関する知識」について解説しています。
本ページでは、ボイラーの送気系統装置について問う問題を取り扱います。
ボイラーの送気系統装置について
この問題は「各種弁」、「バケット式蒸気トラップ」と「沸水防止管」の特徴を覚えましょう。その他の装置については、ざっくりと理解しておけば大丈夫です。
弁
- 主蒸気弁には、アングル弁、玉形弁又は仕切弁などが用いられる。
- 主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気が弁本体の内部で直線状に流れるため抵抗が小さい。
- 主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。
- 減圧弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき、又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。
- 減圧弁は、一次側の蒸気圧力及び蒸気流量にかかわらず、二次側の蒸気圧力を一定に保つときに設ける。
バケット式蒸気トラップ
- バケット式蒸気トラップは、蒸気とドレンの密度差を利用するもの。
- バケット式蒸気トラップは、ドレンの存在が直接トラップ弁を駆動するので、作動が迅速かつ確実で、信頼性が高い。
沸水防止管
- 沸水防止管は、大径のパイプの上面の多数の穴から蒸気を取り入れ、蒸気流の方向を変えることによって水滴を分離するものである。
練習問題
問題:ボイラーの送気系統装置について、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。
主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。
💡解説:仕切り弁は、直線状の形状を持っているため、流体に対する抵抗が小さいです。下図に示されている仕切り弁は、その形状より流体の通過がスムーズで、抵抗が少なくなります。
バイパス弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき、又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。
💡解説:これは減圧弁の記述です。なお、バイパス弁は、テキストに掲載されていないため無視しましょう。
バケット式蒸気トラップは、蒸気とドレンの温度差を利用するもので、作動が迅速かつ確実で、信頼性が高い。
💡解説:バケット式やフロート式は密度差を利用するものです。一方で温度差を利用するものはベローズ式、バイメタル式です。
過去問で修得
令和4年10月 問6
ボイラーの送気系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。
- 主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。
- 主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。
- 減圧弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき、又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。
- 蒸気トラップは、蒸気の使用設備内にたまったドレンを自動的に排出する装置である。
- 長い主蒸気管の配置に当たっては、温度の変化による伸縮に対応するため、湾曲形、ベローズ形、すべり形などの伸縮継手を設ける。
正解 1
令和3年10月 問5
次の文中の( )内に入れるAからCまでの語句の組合せとして、正しいものは( 1 )~( 5 )のうちどれか。
「ボイラーの胴の蒸気室の頂部に(A)を直接開口させると、水滴を含んだ蒸気が送気されやすいため、低圧ボイラーには、大径のパイプの(B)の多数の穴から蒸気を取り入れ、蒸気流の方向を変えて、胴内に水滴を流して分離する(C)が用いられる。」
A | B | C | |
1. | 主蒸気管 | 上面 | 沸水防止管 |
2. | 主蒸気管 | 上面 | 蒸気トラップ |
3. | 給水内管 | 下面 | 気水分離器 |
4. | 給水内管 | 下面 | 沸水防止管 |
5. | 給水内管 | 下面 | 蒸気トラップ |
正解 1
令和2年4月 問6
ボイラーの送気系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。
- 主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。
- バイパス弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき、又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。
- 沸水防止管は、大径のパイプの上面の多数の穴から蒸気を取り入れ、蒸気流の方向を変えることによって水滴を分離するものである。
- バケット式蒸気トラップは、ドレンの存在が直接トラップ弁を駆動するので、作動が迅速かつ確実で、信頼性が高い。
- 長い主蒸気管の配置に当たっては、温度の変化による伸縮に対応するため、湾曲形、ベローズ形、すべり形などの伸縮継手を設ける。
正解 2
平成31年4月 問8
ボイラーの送気系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。
- 主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気が弁本体の内部で直線状に流れるため抵抗が小さい。
- 減圧弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。
- 沸水防止管は、大径のパイプの上面の多数の穴から蒸気を取り入れ、蒸気流の方向を変えることによって水滴を分離するものである。
- バケット式蒸気トラップは、蒸気とドレンの温度差を利用するもので、作動が迅速かつ確実で、信頼性が高い。
- 長い主蒸気管の配置に当たっては、温度の変化による伸縮に対応するため、湾曲形、ベローズ形、すべり形などの伸縮継手を設ける。
正解 4