二級ボイラー試験「ボイラーの取扱いに関する知識」について解説しています。
本ページでは、ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整並びに試験について問う問題を取り扱います。
安全弁・逃がし弁について
安全弁
安全弁は、ボイラーにかかる圧力が異常に高くなり、破裂の危険がある状態を防ぐために取り付けられます。ボイラーが最高使用圧力に達した場合、安全弁が自動的に開き、蒸気を排出して圧力の上昇を防ぎます。安全弁には、ばね式、てこ式、おもり式の3種類があります。
逃し弁
密閉形膨張タンクを使用した温水ボイラーでは、逃がし管を設けない場合に逃がし弁が使用されます。この弁は、水の膨張によって圧力が上昇すると、弁体が押し上げられて水を排出し、圧力の上昇を防ぎます。逃がし弁は、蒸気ボイラーの安全弁に相当する役割を果たします。
これは覚えよう!
ばね安全弁・逃がし弁の調整及び試験は次の記述について問われる問題が多いです。
安全弁の調整ボルト
◆安全弁の吹出し圧力が設定圧力よりも低い場合は、調整ボルトを締める。
→設定圧力よりも低い = ゆるいから締める
◆安全弁が設定圧力になっても作動しない場合は、調整ボルトを緩める。
→設定圧力になっても作動しない = きついから緩める
調整ボルトを締めるか緩めるかを、確実に答えられるようにしておきましょう。
安全弁の設定圧力
◆過熱器用安全弁は、ボイラー本体の安全弁より低い圧力に調整する。
◆エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。
→安全弁の設定圧力は下の順で調整します。
過熱器 < ボイラー < エコノマイザ
過熱器の安全弁は低い圧力で作動するように調整して、ボイラー本体よりも早く作動させるんだね。
練習問題
問題:ばね安全弁・逃がし弁の調整及び試験について、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。
Q:過熱器用安全弁は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。
💡解説:安全弁の設定圧力は「過熱器 < ボイラー」とします。過熱器の安全弁はボイラー本体よりも早く作動させます。
Q:エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より低い圧力に調整する。
💡解説:安全弁の設定圧力は「ボイラー < エコノマイザ」とします。エコノマイザの逃がし弁(安全弁)はボイラー本体よりも早く作動させます。
Q:安全弁が設定圧力になっても作動しない場合は、一旦、ボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて、再度、試験する。
Q:安全弁の吹出し圧力が設定圧力よりも低い場合は、一旦、ボイラーの圧力を設定圧力の 80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて再度、試験する。
過去問で修得
令和6年4月 問16
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整並びに試験について、適切でないものは次のうちどれか。
- ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
- 安全弁の吹出し圧力が設定圧力よりも低い場合は、一旦、ボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを締めて再度、試験する。
- 過熱器用安全弁は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。
- エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。
- 安全弁の手動試験は、最高使用圧力の75%以上の圧力で行う。
正解 3
令和5年10月 問17
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整並びに試験について、適切でないものは次のうちどれか。
- 安全弁の調整ボルトを定められた位置に設定した後、ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
- 安全弁が設定圧力になっても作動しない場合は、一旦、ボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて、再度、試験する。
- ボイラー本体に安全弁が2個ある場合は、1個を最高使用圧力以下で先に作動するように調整したときは、他の1個を最高使用圧力の3%増以下で作動するように調整することができる。
- エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より低い圧力に調整する。
- 最高使用圧力の異なるボイラーが連絡している場合、各ボイラーの安全弁は、最高使用圧力の最も低いボイラーを基準に調整する。
正解 4
令和5年4月 問11
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整及び試験に関するAからDまでの記述で、適切なもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。
- 安全弁の調整ボルトを定められた位置に設定した後、ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
- 安全弁が設定圧力になっても作動しない場合は、直ちにボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを締めて再度、試験する。
- 安全弁の吹出し圧力が設定圧力よりも低い場合は、一旦、ボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて再度、試験する。
- 最高使用圧力の異なるボイラーが連絡している場合、各ボイラーの安全弁は、最高使用圧力の最も低いボイラーを基準に調整する。
- A,B
- A,B,D
- A,C,D
- A,D
- C,D
正解 4
令和4年4月 問19
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整及び試験に関するAからDまでの記述で、適切なもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。
- 安全弁の調整ボルトを定められた位置に設定した後、ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
- 安全弁が1個設けられている場合は、最高使用圧力の3%増以下で作動するように調整する。
- エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より低い圧力に調整する。
- 安全弁の手動試験は、常用圧力の75%以下の圧力で行う。
- A
- A、B
- A、C、D
- A、D
- B、C、D
正解 1
令和3年4月 問19
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整及び試験について、誤っているものは次のうちどれか。
- 安全弁の調整ボルトを定められた位置に設定した後、ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
- 安全弁が設定圧力になっても作動しない場合は、直ちにボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げ、調整ボルトを締めて再度、試験する。
- ボイラー本体に安全弁が2個ある場合は、1個を最高使用圧力以下で先に作動するように調整したときは、他の1個を最高使用圧力の3%増以下で作動するように調整することができる。
- エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。
- 最高使用圧力の異なるボイラーが連絡している場合、各ボイラーの安全弁は、最高使用圧力の最も低いボイラーを基準に調整する。
正解 2
令和2年4月 問11
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整及び試験について、誤っているものは次のうちどれか。
- 安全弁の調整ボルトを定められた位置に設定した後、ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
- 安全弁が設定圧力になっても作動しない場合は、直ちにボイラーの圧力を設定圧力の 80% 程度まで下げ、調整ボルトを締めて再度、試験する。
- ボイラー本体に安全弁が 2 個ある場合は、1 個を最高使用圧力以下で先に作動するように調整したときは、他の 1 個を最高使用圧力の 3% 増以下で作動するように調整することができる。
- エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。
- 安全弁の手動試験は、最高使用圧力の 75% 以上の圧力で行う。
正解 2
令和元年10月 問11
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整及び試験について、誤っているものは次のうちどれか。
- 安全弁の調整ボルトを定められた位置に設定した後、ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
- 安全弁の吹出し圧力が設定圧力よりも低い場合は、一旦、ボイラーの圧力を設定圧力の 80%程度まで下げ、調整ボルトを緩めて再度、試験する。
- ボイラー本体に安全弁が2個ある場合は、1個を最高使用圧力以下で先に作動するように調整したときは、他の1個を最高使用圧力の3%増以下で作動するように調整することができる。
- エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より高い圧力に調整する。
- 最高使用圧力の異なるボイラーが連絡している場合、各ボイラーの安全弁は、最高使用圧力の最も低いボイラーを基準に調整する。
正解 2
平成31年4月 問16
ボイラーのばね安全弁及び逃がし弁の調整及び試験について、誤っているものは次のうちどれか。
- 安全弁の調整ボルトを定められた位置に設定した後、ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
- ボイラー本体に安全弁が2個ある場合は、1個を最高使用圧力以下で先に作動するように調整したときは、他の1個を最高使用圧力の3%増以下で作動するように調整することができる。
- エコノマイザの逃がし弁(安全弁)は、ボイラー本体の安全弁より低い圧力に調整する。
- 最高使用圧力の異なるボイラーが連絡している場合、各ボイラーの安全弁は、最高使用圧力の最も低いボイラーを基準に調整する。
- 安全弁の手動試験は、最高使用圧力の75%以上の圧力で行う。
正解 3