キャリオーバ

二級ボイラー試験「ボイラーの取扱いに関する知識」について解説しています。

本ページでは、ボイラーのキャリオーバについて問う問題を取り扱います。

キャリーオーバについて

キャリーオーバってなんだ?

ボイラー水の不純物や水滴が蒸気とともに多量にボイラー外に運び出されることだよ。プライミング(水気立ち)、ホーミング(泡立ち)の2種に分けられます。

プライミング

ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出されることを、プライミング(水気立ち)といいます。

プライミングは、以下のような事が起こったときに発生することがあります。

  • 蒸気負荷が過大であるとき。
  • 高水位であるとき。
  • 主蒸気弁を急開したとき。

ホーミング

ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出されることを、ホーミング(泡立ち)といいます。

ホーミングは、以下のような事が起こったときに発生することがあります。

  • ボイラー水に油脂分が多く含まれているとき。
  • ボイラー水に有機物が含まれていたり、又は溶解した蒸発残留物が過度に濃縮しているとき。

キャリーオーバの害

キャリーオーバの害は試験で問われやすい項目になります。確認しておきましょう。

  • キャリオーバが発生してボイラー水が過熱器に入ると、蒸気温度が低下したり、過熱器の汚損や破損を起こす。
  • 水位制御装置が、ボイラー水位が上がったものと認識し、ボイラー水位を下げて低水位事故を起こす。
  • 蒸気とともにボイラーから出た水分が配管内にたまり、ウォータハンマを起こす。

スケールやスラッジはウォータハンマーとは無関係です。» スケール及びスラッジの害

練習問題

問題:キャリオーバについて、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。

Q:キャリオーバが発生してボイラー水が過熱器に入ると、蒸気温度が上昇したり、過熱器の汚損や破損を起こす。

正しくは「キャリオーバが発生してボイラー水が過熱器に入ると、蒸気温度が低下したり、過熱器の汚損や破損を起こす。」

💡解説:加熱器に水が入っても蒸気温度が上がることはないです。

Q:プライミングは蒸気負荷が過小であるときに発生する。

正しくは「プライミングは蒸気負荷が過大であるときに発生する。」

💡解説:ボイラーがグツグツしている(負荷が大きい)と発生するとイメージしましょう。

Q:水位制御装置が、ボイラー水位が下がったものと認識し、ボイラー水位を上げて高水位になる。

正しくは「水位制御装置が、ボイラー水位が上がったものと認識し、ボイラー水位を下げて低水位事故を起こす。」

💡解説:プライミングの水滴やホーミングの泡で水位が上がったようになるとイメージしましょう。

過去問で修得

令和6年4月 問13

ボイラーのキャリオーバに関する現象及び原因について、適切でないものは次のうちどれか。

  1. ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出されることを、プライミング(水気立ち)という。
  2. ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出されることを、ホーミング(泡立ち)という。
  3. プライミングは蒸気負荷が過小であるときに発生する。
  4. プライミングは高水位であるときに発生する。
  5. ホーミングはボイラー水に油脂分が多く含まれているときに発生する。

正解 3

令和5年10月 問14

ボイラーに発生するキャリオーバとしての現象及び原因として、適切でないものは次のうちどれか。

  1. ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出された。これをプライミング(水気立ち)という。
  2. ドラム内に発生した泡が広がり、これにより蒸気に水分が混入して運び出された。これをホーミング(泡立ち)という。
  3. 蒸気流量が急増した。
  4. ボイラー水に有機物が含まれていたり、又は溶解した蒸発残留物が過度に濃縮している。
  5. ボイラー水の導電性が低下している。

正解 5

令和4年4月 問15

ボイラーにおけるキャリオーバの害に関するAからDまでの記述で、正しいもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。

  1. 蒸気の純度を低下させる。
  2. ボイラー水全体が著しく揺動し、水面計の水位が確認しにくくなる。
  3. ボイラー水が過熱器に入り、蒸気温度が上昇して過熱器の破損を起こす。
  4. 水位制御装置が、ボイラー水位が下がったものと認識し、ボイラー水位を上げて高水位になる。
  1. A、B
  2. A、B、C
  3. A、B、D
  4. B、C
  5. C、D

正解 1

令和3年10月 問20

ボイラーにキャリオーバが発生した場合の処置として、最も適切でないものは次のうちどれか。

  1. 燃焼量を下げる。
  2. 主蒸気弁を急開して蒸気圧力を下げる。
  3. ボイラー水位が高いときは、一部を吹出しする。
  4. ボイラー水の水質試験を行う。
  5. ボイラー水が過度に濃縮されたときは、吹出し量を増し、その分を給水する。

正解 2

令和3年4月 問15

ボイラーにおけるキャリオーバの害として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 蒸気とともにボイラーから出た水分が配管内にたまり、ウォータハンマを起こす。
  2. ボイラー水全体が著しく揺動し、水面計の水位が確認しにくくなる。
  3. 自動制御関係の検出端の開口部若しくは連絡配管の閉塞又は機能の障害を起こす。
  4. 水位制御装置が、ボイラー水位が上がったものと認識し、ボイラー水位を下げて低水位事故を起こす。
  5. 脱気器内の蒸気温度が上昇し、脱気器の破損や汚損を起こす。

正解 5

令和2年10月 問13

ボイラーにキャリオーバが発生する原因となる場合として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 高水位である。
  2. 主蒸気弁を急に開く。
  3. 蒸気負荷が過小である。
  4. ボイラー水が過度に濃縮されている。
  5. ボイラー水に油脂分が多く含まれている。

正解 3

令和2年4月 問20

ボイラーにキャリオーバが発生した場合の処置として、適切でないものは次のうちどれか。

  1. 燃焼量を下げる。
  2. 主蒸気弁を急開して蒸気圧力を下げる。
  3. ボイラー水位が高いときは、一部を吹出しする。
  4. ボイラー水の水質試験を行う。
  5. ボイラー水が過度に濃縮されたときは、吹出し量を増し、その分を給水する。

正解 2

関連問題

スケール及びスラッジの害