二級ボイラー試験「ボイラーの構造に関する知識」について解説しています。
本ページでは、鋳鉄製ボイラーについて問う問題を取り扱います。
鋳鉄製ボイラーについて
鋳鉄製ボイラーは、ボイラーの主要な構造部品が鋳鉄で作られたボイラーです。鋳鉄は耐久性が高く、鋳造が容易なため、ボイラーの設計や製造に広く用いられています。
これは覚えよう!
鋳鉄製ボイラーの特徴について確認していきましょう。
温水温度と蒸気圧力の制限
鋳鉄製ボイラーには、温水の温度と蒸気の圧力にそれぞれ上限があります。
- 温水ボイラーの温水温度は、120℃以下に限られる。
- 蒸気ボイラーの場合、その使用圧力は0.1MPa以下に限られる。
温水なら120℃、蒸気なら0.1MPa以下なんだね。
セクション
多数のスタッドを取り付けたセクションによって、伝熱面積を増加させることができます。セクションの数は20枚程度で、伝熱面積は50m2程度までが一般的です。
食パンをイメージしましょう。
鋳鉄製ボイラーの給水管について
給水管はボイラーに直接接続せず返り管に取り付けます。返り管の取付けには、ハートフォード式連結法が用いられる。
鋳鉄と鋼の比較
鋳鉄は鋼と比較して次のような特徴があります。
- (鋼と比べて鋳鉄は)強度が低い。
- (鋼と比べて鋳鉄は)腐食に強い。
鋳鉄って名前だから、なんか強そうだけど、強度低いんだ。
ウェットボトム式とドライボトム式
鋳鉄製ボイラーにはウェットボトム式とドライボトム式と呼ばれる構造があります。
- ウェットボトム式:ボイラー底部にも水を循環させる構造。ボイラー底部に耐火材を必要としない。
- ドライボトム式:ウェットボトム式と逆
ウェットボトムだから、底に水があるってイメージでよさそうだね。
練習問題
問題:鋳鉄製蒸気ボイラーについて、次の記述は正しいか。⭕または❌で答えてください。答えは▶を押してください。
Q:蒸気ボイラーの場合、その使用圧力は1MPa以下に限られる。
💡解説:鋳鉄製ボイラーで圧力1MPaは高すぎというイメージを持ちましょう。
Q:暖房用蒸気ボイラーでは、給水管はボイラー本体の安全低水面の位置に直接取り付ける。
💡解説:給水管はボイラー本体ではなく、返り管に取り付けます。
Q:暖房用ボイラーの給水管は、ポンプ循環方式の場合にはボイラーに直接取り付ける。
💡解説:ポンプ循環方式でも給水管は返り管に取り付けます。
Q:重力循環方式の蒸気ボイラーでは、給水管はボイラー本体の安全低水面の位置に直接取り付ける。
💡解説:重力循環方式でも給水管は返り管に取り付けましょう。
鋳鉄ボイラーの給水管は何があっても返り管に取り付けるってことだね。もう覚えた!
Q:鋼製ボイラーに比べ、熱による不同膨張によって割れが生じやすい。
Q:鋼製ボイラーに比べ、強度は低いが、腐食には強い。
Q:ウェットボトム式は、ボイラー底部に耐火材を必要としない構造となっている。
過去問で修得
令和6年4月 問3
鋳鉄製蒸気ボイラーについて、適切でないものは次のうちどれか。
- 暖房用ボイラーでは、原則として復水を循環使用する。
- 暖房用ボイラーの返り管の取付けには、ハートフォード式連結法が用いられる。
- 暖房用ボイラーの給水管は、ポンプ循環方式の場合にはボイラーに直接取り付ける。
- セクションの数は20枚程度で、伝熱面積は50m2程度までが一般的である。
- 多数のスタッドを取り付けたセクションによって、伝熱面積を増加させることができる。
正解 3
令和5年10月 問3
鋳鉄製ボイラーについて、適切でないものは次のうちどれか。
- 温水ボイラーの温水温度は、120℃以下に限られる。
- 重力循環方式の蒸気ボイラーでは、給水管はボイラー本体の安全低水面の位置に直接取り付ける。
- ポンプ循環方式の蒸気ボイラーの場合、返り管は安全低水面以下150mm以内の高さに取り付ける。
- ウェットボトム式は、ボイラー底部に耐火材を必要としない構造となっている。
- 鋼製ボイラーに比べ、熱による不同膨張によって割れが生じやすい。
正解 2
令和5年4月 問4
次の文中の( )内に入れるA及びBの語句の組合せとして、適切なものは(1)~(5)のうちどれか。
「暖房用鋳鉄製蒸気ボイラーでは、一般に復水を循環して使用し、給水管はボイラーに直接接続しないで(A)に取り付け、(B)を防止する。」
A | B | |
1. | 逃がし管 | 水圧力の異常な昇圧 |
2. | 返り管 | 水圧力の異常な昇圧 |
3. | 返り管 | 低水位事故 |
4. | 受水槽 | 低水位事故 |
5. | 膨張管 | 給水圧力の異常な昇圧 |
正解 3
令和4年4月 問5
鋳鉄製ボイラーについて、誤っているものは次のうちどれか。
- 暖房用蒸気ボイラーでは、原則として復水を循環使用する。
- 暖房用蒸気ボイラーでは、給水管はボイラー本体の安全低水面の位置に直接取り付ける。
- 暖房用蒸気ボイラーの返り管の取付けには、ハートフォード式連結法が用いられる。
- ウェットボトム式は、ボイラー底部にも水を循環させる構造となっている。
- 鋼製ボイラーに比べ、強度は低いが、腐食には強い。
正解 2
令和3年10月 問6
鋳鉄製ボイラーについて、誤っているものは次のうちどれか。
- 蒸気ボイラーの場合、その使用圧力は0.1MPa以下に限られる。
- 暖房用蒸気ボイラーでは、重力循環式の場合、給水管はボイラー本体の安全低水面の位置に直接取り付ける。
- ポンプ循環方式の蒸気ボイラーの場合、返り管は、安全低水面以下150mm以内の高さに取り付ける。
- ウェットボトム式は、ボイラー底部にも水を循環させる構造となっている。
- 鋼製ボイラーに比べ、熱による不同膨張によって割れが生じやすい。
正解 2
令和3年4月 問5
鋳鉄製ボイラーについて、誤っているものは次のうちどれか。
- 蒸気ボイラーの場合、その使用圧力は1MPa以下に限られる。
- 暖房用蒸気ボイラーでは、原則として復水を循環使用する。
- 暖房用蒸気ボイラーの返り管の取付けには、ハートフォード式連結法が用いられる。
- ウェットボトム式は、ボイラー底部にも水を循環させる構造となっている。
- 鋼製ボイラーに比べ、腐食には強いが強度は弱い。
正解 1
令和2年10月 問4
鋳鉄製蒸気ボイラーについて、誤っているものは次のうちどれか。
- 各セクションは、蒸気部連絡口及び水部連絡口の穴の部分にニップルをはめて結合し、セクション締付ボルトで締め付けて組み立てられている。
- 鋳鉄製のため、鋼製ボイラーに比べ、強度が強く、腐食にも強い。
- 加圧燃焼方式を採用して、ボイラー効率を高めたものがある。
- セクションの数は20程度までで、伝熱面積は50m2程度までが一般的である。
- 多数のスタッドを取り付けたセクションによって、伝熱面積を増加させることができる。
正解 2
令和元年10月 問4
次の文中の( )内に入れるA及びBの語句の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
「暖房用鋳鉄製蒸気ボイラーでは、(A)を循環して使用するが、給水管はボイラーに直接接続しないで(B)に取り付けるハートフォード式連結法が用いられる。」
A | B | |
1. | 給水 | 逃がし管 |
2. | 蒸気 | 膨張管 |
3. | 復水 | 返り管 |
4. | 復水 | 逃がし管 |
5. | 給水 | 膨張管 |
正解 3
平成31年4月 問9
鋳鉄製蒸気ボイラーについて、誤っているものは次のうちどれか。
- 各セクションは、蒸気部連絡口及び水部連絡口の穴の部分にニップルをはめて結合し、外部のボルトで締め付けて組み立てられている。
- 蒸気暖房返り管の取付けには、ハートフォード式連結法が用いられている。
- 暖房用ボイラーでは、給水管は、ボイラー本体の安全低水面の位置に直接取り付ける。
- 鋼製ボイラーに比べ、強度は弱いが腐食には強い。
- 加圧燃焼方式を採用して、ボイラー効率を高めたものがある。
正解 3